2021年 映画興行概況

2024年映画興行概況

全国興収は3年連続2,000億円超
邦画興収は1,558億円で過去最高を記録
全国興収の対前年比は93.5%
米ストライキ等の影響で洋画が不調

 (一社)日本映画製作者連盟は、20251月に「2024(和6)年全国映画概況」を発表した。それによると、2024年の全国興行収入は2,0698,300万円となり、前年の2,2148,200万円との比較で93.5%。全国入場人員は14,4441,000人となり、前年の15,5535,000人との比較で92.9%となった(図表1)。コロナ以降の回復基調はやや落ち着いたものの、全国興収は2022年から3年連続で2,000億円台を維持しており、依然堅調といえる。
 
 邦画・洋画別の全国興収をみると、邦画は1,558億円(対前年比105.1%)となり、2016年の1,486億円を抜いて過去最高を記録した。一方で洋画は5118,300万円(対前年比69.8%)と落ち込みが目立つ結果となっている。洋画不調の要因の1つとして指摘されるのが、アメリカの脚本家および俳優の労働組合が23年に実施した大規模ストライキの影響である。いずれも23年中に終息したものの、数か月間におよんだストライキは作品製作を大きく停滞させ、とくに話題作や大作の製作が延期されたことが、24年の日本における洋画公開作品にも大きく影響したといわれている。ただし、ストライキ終息後には「ミッション・インポッシブル」「ジュラシック・ワールド」「ファンタスティック・フォー」といった人気シリーズの新作や話題作の製作が進んでおり、それらが日本で公開されれば洋画興収の回復も大いに期待できる。
 
興収10億円以上邦画は31作品
洋画は10作品で興収総計も大幅減
 
 2024年に興収10億円以上をあげた番組は、邦画部門では計31作品となり、興収総計は1,0501,000万円。前年の34作品、1,1391,000万円からやや減少したものの堅調ぶりがうかがえる(図表2)。なお、100億円突破作品は「名探偵コナン100万ドルの五稜星(みちしるべ)」(158億円)と「劇場版ハイキュー!!ゴミ捨て場の決戦」(116.4億円)の2作品となった。一方の洋画部門は、興収10億円以上の作品は計10作品で興収総計は2525,000万円となり、前年の15作品、4832,000万円から大きく減少している。
 
邦画は東宝、松竹が前年比で増加
洋画メジャーはWB1社のみ微増
 
 配給会社別の興収をみると、邦画では東宝が累計913.4億円(前年比117.9%)、松竹が累計193.8億円(前年比127.7%)といずれも増加しているが、東映は前年比で29.8%となり、邦画3社の合計は1,195.3億円(対前年比97.8%)となっている(図表3)。洋画配給会社のメジャー系ではワーナーブラザーズが124.9億円(前年比103.4%)と健闘しているが、ソニー・ピクチャーズ・エンターテインメントとウォルト・ディズニー・スタジオは前年比で減少するなど、洋画の不調を裏付ける結果となっている。