[特別企画]
集客施設におけるEV充電インフラ対応
CASESTUDY
レジャー施設・遊園地・グランピング施設にみる
充電設備の導入ケース
昨今のEVの販売台数の拡大に伴い、充電スポットも各地に設置されるようになってきた。
レジャー・集客施設においてもその設置を行なう施設がふえているが、来訪者の滞在先での「目的地充電」のニーズが高まっていることが背景にある。特に、車での来客が多く大型の駐車場を有する商業施設、宿泊中の充電ニーズがあるホテルなど宿泊施設のほか、観光地、テーマパーク・遊園地、グランピングなどアウトドア施設などで顕著で、今後は利用者満足の向上に不可欠のインフラとなるものと予想される。
本稿では、おもな集客施設における設置事例を紹介する。
事例1 グランピング
果樹園グランピングヴィラHARASAWA
観光農園の原沢りんご園(群馬県みなかみ町)は、「果樹園グランピングヴィラHARASAWA」を2023年4月に開業した。3万㎡もの広大なりんご園の敷地内に北欧風2階建てのログハウス「The Apple」と愛犬の同伴が可能なコテージタイプの「Plum」の2棟を整備。宿泊棟からは農園や谷川岳などの自然を一望することができる。同施設は、新型コロナウイルスの流行をきっかけに都内のホテル運営会社を退職した同園オーナーの長男、原沢晃氏が地元に戻り開業したもの。〝日本初、りんご農家がりんご好きへ贈るアップルグランピング〞をコンセプトに掲げ、ウェルカムドリンクに同園のりんごを使用したりんごジュースや夕食にはりんごや上州牛といった地元の食材を使ったクレイジーアップルBBQ 、朝食にもりんごを使ったメルトサンドなどを提供。9月から12月にかけてはりんご狩りが体験できる宿泊プランも用意している。
同園ではEV充電器を導入しているが、その経緯はホテル時代の知人からの紹介によるもの。宿泊者の多くが関東圏から車で来るということと、充電器の設置費用が無料ということから導入を検討。さらに併設のりんご園の来園者も含め将来的にEVを利用して訪れる人の拡大が予想されること、地域にまだEV充電器の設置が進んでいないことなどから周囲に先んじて普通充電器を1基設置したとのこと。
原沢氏は当初、利用者から充電器の使い方などについての質問も多いのではと不安もあったが、導入から現在まで問題なく運用され利用者からも好評だという。現状では急速充電器は普通充電器よりも費用、場所が必要になるが、今後EVの普及がさらに進み、よりコンパクトで安価な急速充電器が開発されれば、利用者の満足度向上のためにも導入を検討したいとしている。
事例2 テーマパーク
那須高原りんどう湖ファミリー牧場
「那須高原りんどう湖ファミリー牧場」(栃木県那須郡)は那須興行㈱が運営を行なうテーマパーク。
園内では馬や羊、アルパカなど様々な動物とのふれあい体験やアトラクションのほか、りんどう湖の湖畔でグランピングも楽しむことができる。
年間約28万人(22年度実績)が訪れる同施設は、JR宇都宮線黒磯駅から車で約20分、東北自動車道那須ICからも同約10分という立地から、ファミリー層など車での来場が多いため、約30万㎡の敷地内に乗用車2,000台分の駐車場を完備。郊外のレジャー施設滞在中の目的地充電の需要が高まるなか、22年8月に「エネチェンジEVチャージ」の普通充電器を2基設置し、対応している。
事例3 遊園地
よみうりランド
「よみうりランド」は、1964年開業と歴史ある遊園地。豊富なアトラクションを有し、2024年3月には新温浴施設「花景の湯」をオープンした。
同園では、16年から大駐車場にEV充電器を2基導入。駐車場は有料だが、充電器の利用料金は徴収せず利用者サービスと位置づける。
遊園地は、商圏も広く子連れ客など車での来園も多いため、EV充電のニーズは潜在的に高いといえる。特に同園は、夏はプール、冬はイルミネーションを楽しめるほか、フラワーパーク、温浴施設も隣接する総合レジャー施設であるため、多様な客層のニーズへの対応が求められる。また滞在時間が比較的長いため、その間の充電を可能とすることで、EV利用者の利便性向上に活かしている。
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