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[特集]拡大するカラオケマーケットの可能性

収益構造の再構築と独自の出店戦略のもと
再拡大が進むカラオケマーケット

編集部
 

マーケット環境の変化に対応した
新たな経営・運営スタイルが主流に

(一社)全国カラオケ事業者協会が毎年発行している『カラオケ白書2024』のデータをもとに、2023年のカラオケボックス市場の動向についてみてみたい。
 
まず、カラオケ参加人口は、前年より540万人増の3,780万人となり、コロナ禍以前の19年との比較で81%にまで回復している。
 
一方、カラオケボックス施設数は、2023年は8,298施設で、前年よりも160施設増となり、コロナの感染拡大がはじまった20年以来、施設数は減少傾向が続いていたが、2023年はプラスに転じた。
 
また、カラオケボックスの1室当たりの月間売上げも、コロナ禍の20年 22年までは1室20万円を切る状況であったが、23年は、「20万9,000円」と20万円台までに回復。とくに市街地・繁華街のカラオケボックスは1室24.4万円と、前年比で大きく伸びている。さらに、カラオケボックスの売上額の伸びでも、全体の67.5%が「伸びた」と回答している。
 

 
すでに「アフターコロナ」という言葉自体が過去のものとなり、マーケットは新たなスタートを切ったといえるだろう。
 
ただ、その一方でカラオケボックスのオペレータの多くから、とくに夜の集客はコロナ前の7 8割程度の回復で、それが完全回復するのはむずかしいというシビアな意見があがっている。
 
コロナ禍による消費者のライフスタイルの変化によって残業帰りの飲み会や二次会利用の減少などが指摘されているが、そもそもこうした夜の二次会利用の減少は、コロナ前からいわれており、業界にとって、大きな課題となっていた。
 
現在、カラオケボックス市場で進められているのは、「収益構造の再構築」である。もともとカラオケボックスは、昼間の時間帯はリーズナブルな価格設定で、シニア層や子連れ主婦グループ、学生客をターゲットに集客を図る一方で、夜の時間帯にビジネスパーソンのグループ利用を中心に、カラオケとともに飲食を楽しんでもらうという運営スタイルで、安定した売上げを確保していた。
 
ただ、前述のようにコロナ禍前から、そうしたグループ利用が減少傾向にあり、さらに1組当たりの利用人数も減少し、それに追い打ちをかけているのが人件費の高騰である。カラオケは若者にとって人気の業態のため、募集を掛けても人が来ないということは少ないが、募集時給は地方都市で1,000円前後、都市部になると1,100 1,300円程度と上がっている。
 
売上げが低下傾向にあるなかで、人件費を含めた諸物価高騰が続いており、結果として、事業収益は悪化の傾向にある。
 
その対策として進められているのが、一つが「省人化システムの活用」であり、自動精算機や自動受付機、さらに配膳ロボットなどの導入が進んでいる。
 
もうひとつ、業界で進んでいるのが、「飲食の持込みサービス」である。この数年、20ルーム前後の店舗で、飲食の持ち込みを自由にすることで、利用客の使い勝手の向上とともに、人件費やフードロスの削減を図る事例が一部にみられたが、全国展開の「カラオケまねきねこ」ブランドがほとんどの店舗で、西日本を中心に展開する「ジャンカラ」ブランドが全店で、飲食提供を行ないつつ、飲食の持ち込みを自由としている。
 
飲食提供を一切行なわず、自動精算機で人件費の削減を図るという戦略をいち早く取り入れたカラオケブランドとしては、「カラオケベスト10」があげられる。2011年にオープンした1号店の「カラオケベスト10大井町店」は、24時間営業、飲食持込み自由のセルフサービス式カラオケ店として展開し、スタッフ業務はフロント受付けとルーム清掃のみで、1フロア22ルームの規模で、夕方 深夜帯のピーク時に2名、通常時は1名のスタッフ体制で大幅な人員削減を実現。現在、首都圏を中心に13店舗まで拡大している。
 
飲食の持ち込みサービスは、現状では他のメガチェーンは積極的には行なっていないものの、今後は業界の一つの潮流になることが予想される。
 
 

都市部を中心に出店戦略は
単独出店から複合化出店へ

カラオケボックスのもうひとつのトレンドが「複合化戦略」であり、その代表的なものがダーツ業態である。
 
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