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最新号 PICK UP

ホテル湖龍(山梨県富士川口湖町)

リニューアルオープンしたカラオケルーム。インバウンドのグループ利用など幅広く需要に対応


漫画家としての顔もつ新社長のもと
全面改修を機に新たな魅力創出に注力

 富士山北側の河口湖畔で創業50年を迎えたのが「ホテル湖龍」だ。多彩な客室(全52室)のほとんどがレイクビューで、展望露天風呂からは南アルプスの山々を一望できる。
 
 社長をつとめる外川亜希子氏は、創業者である祖父、父親、叔父の跡を継いだ。もともとは漫画家志望で、雑誌デビューの経験もある。著名漫画家のアシスタントなどを務め40歳手前まで東京で働いていたが、叔父が病に倒れたことを受けて帰郷し、2018年に社長に就任した。コロナ禍後、インバウンドも含めて客足が回復したなか、老朽化が進む旅館建物を改装するとともに、サービス形態の大幅な見直しを行なった。
 
 カラオケに関しては、改修前は1階ラウンジスペースと、カラオケルームの2箇所に設置していた。このうち、最大12人収容可能のカラオケルームは、コロナ禍と天井雨漏りなどで閉鎖していたもので、内装を刷新したほか、第一興商のDAMブランドの人気機種に入れ替えている。
 
「以前からカラオケには一定の需要がありました。旅館やホテルのカラオケは別料金で有料というイメージが強いのですが、当ホテルの周辺には夜の時間帯に利用できるレジャー・飲食施設が少ないため、お客さま満足の向上と、ホテルの付加価値として、あえて無料にしてアピールしています」(外川氏)。
 
 一方、ラウンジスペースに関しては、思い切って漫画カフェへと転換。漫画への造詣が深い外川社長自らセレクトした漫画1万冊を常備しており、今後さらに増やす予定だという。また、漫画を読むだけでなく描くことができるスペースも用意。外川社長が時間のあるときに自ら漫画を描きながら、利用客とのコミュニケーションをとることも想定しており、「単なるホテルの一施設ではなく、オープンスペースとして地域住民や漫画好きの子供たちのコミュニケーションの場としたい。いずれは漫画やアニメなどの情報発信基地として発展させていければいいですね」と外川社長は抱負を語る。
 
 「お客さま、旅館で働く人、地域住民の方々の利益につながる三方良しの経営が私の理想。そのなかで、私自身の強みである漫画やアニメなどを、さらに前面に打ち出していけたらいいですね」と外川社長。古い価値観や常識にとらわれない斬新なアイデアや方法論で、創業50年を経た温泉ホテルに新たな魅力を創出している。