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DX推進企業に聞く

 

アソビュー㈱

 

「アソビュー!」と「ウラカタ」を軸に
レジャー施設のDX化をサポート

新型コロナ禍で施設の運営に不確実性が高まった際、DXによる施設経営の必要性、重要性を前面に打ち出し、スピード感のあるサービス展開でシェアをより高めたアソビュー㈱。その背景と今後の展望について、同社専務執行役員の宮本武尊氏に話を伺った。

 

お客さまの価値観が大きく変わった
急がれる観光・レジャー業界のDX

 
 「コロナ禍によって完全に人の流れが途絶えた状態から再構築をしていくにあたって、わたしどもも含めた観光・レジャー業界は、まずはどうやってお客さまを受け入れていくかの模索から始まりました。その頃は当然、本当に元の水準に戻るのだろうかという不安がありましたが、ここにきて企業や施設ごとに差はあるにしても、おおむね2019年と同水準にまで回復しています。これは逆にいえば、来場者が伸びない背景や売上・利益といったものを出せない理由として、いよいよコロナを言い訳にできないフェーズに入ったということだと思います」。
 
 そう語るのは、利用者向けの遊びの予約サービス「アソビュー!」を中心としたマーケットプレイスや、レジャー施設向けの業務支援ツール「ウラカタ」などを通して、レジャー領域のDX化を推し進めるアソビュー㈱専務執行役員の宮本武尊氏。
 
 全体的な傾向でいえばコロナ禍前の水準に戻りつつあるとはいえ、アフターコロナになりレジャー施設を取り巻く環境はさまざまな点で変化した。なかでも大きく変わったのが、利用客の意識や消費動向、そしてより深刻さの度合いが増した人手不足の問題だ。
 
 特に、利用者の混雑や待ち時間への価値観の変化は非常に大きく感じるという。「わたしどもで毎年行なっている市場調査でいえば、お客さまが遊ぶ施設を選ぶ際にもっとも重視しているのは、コロナ禍直後はやはり3密回避の混んでない施設でした。ただ、コロナ禍の終息した現在でもその傾向は続き、コロナ前の『混んでいて当然』どころか『混雑こそが人気の証』といった状況からは大きく変化し、最近はさらに、コストパフォーマンス重視からタイムパフォーマンスの良さを重視する傾向がみてとれます」と宮本氏。ゴールデンウイークやお盆商戦といった繁忙期、アソビュー!では入場制限などをしていない施設の口コミ評価はおおむね0.5ポイントから1ポイントほど下落するなど、「安さを求める単なるコストパフォーマンスではなく、使ったお金と時間のなかでいかに満足できるかを重視する方々への対応が欠かせない状況」だという。
 
 一方の各種レジャー施設における人手不足の問題は、もはや多くを語る必要はない慢性化したテーマだ。コロナ禍によって大規模な人員整理をした施設は多く、その後「募集をしても来ない」「来ても辞める」の悪循環に陥っているところも少なくない。
 
 宮本氏は、「わたしどもでヒアリングをする限り、繁閑差が大きくて、一見すると誰にでもできそうな作業に映る職種ほど不人気な印象があります。こうしたエンプロイー・エクスペリエンス(従業員が体験する経験価値)と、今のタイムパフォーマンスを重視するお客さまの体験価値が重なっている部分こそ、DXの推進が欠かせない部分だと捉えています」という。
 

顧客と従業員ともに満足度高める
施設に見合ったDXを模索

 
 レジャー領域のDXカンパニーとして、同社の事業展開は「消費者向けのサービス」「レジャー施設向けのサービス」、そしてそれらのサービスから得たデータを活用した「コンサルティングサービス」の3本が主軸になってる。
 
 社名がそのままプロダクト名になっている「アソビュー!」は、遊園地や水族館、美術館などのレジャー施設に限らず、アウトドアやものづくり体験など、幅広いアクティビティを含めた600種類以上の遊びを全国1万以上の施設から選び、その予約ができる消費者向けサービスだ。コロナ禍以降、
特に認知度が高まり、その累計体験者数は4,730万人を突破している。
 
 また、同社が2015年3月からサービスの提供を開始した観光・レジャー・文化施設向けのクラウド型ソフトウェアサービス「ウラカタシリーズ」は、新型コロナが5類に移行する前の2023年3月時点で累計利用施設数が4,000を超えた。
 
 

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